作編曲

作曲における「キャッチー」とは何か?考えてみた。

作曲を始めて4年半ほどが経ちました。




その中で少しずつ専門家の方に曲を聴いていただく機会なども生まれてきたのですが、よく「メロディが弱い」「キャッチーさが足りない」などとお聞きすることがあります。


しかし、結局「強いメロ」や「キャッチー」とはどういうことなのか?どのように作るものなのか?

少し自分なりに考えてみました。


「キャッチー」とは何なのか?



作曲界隈では圧倒的な頻度で耳にするこの言葉。


「イヤーキャッチ」を意味するもので、基本的には「キャッチーな曲」というのは「耳馴染みの良い曲」くらいに捉えることができるでしょう。


ただ、実はこの「キャッチー」という言葉。
作曲コンペの発注書などでは、次のような形で、ある枕詞とともに書かれていることが多いのです。


「一度聴いたら覚えられるキャッチーな曲を希望!」



この「一度聴いたら覚えられる」という要素が、コンペでは非常に強く求められているようなのです。


当然審査する側は何百、何千という曲の中から、一つを採用しなければなりません。
その中で、一度聴いて耳に残らないような曲を選ぶ理由は無いということでしょう。


なので、結局「キャッチー」というのは、「メロディの覚えやすさ・印象の残りやすさ」ということなのだろうと解釈しています。


「キャッチー」さの作り方



当然数式のように決まった作り方があるわけではないのですが、覚えやすいメロにするためのコツはいくつかあるように思います。

 

①モチーフの繰り返し

「モチーフ」の定義を、ここでは「ブレスからブレスまでの間の、一続きのメロの展開」ということにさせていただきます。

その同型のモチーフを繰り返すと、覚えやすさは増します。

例として、足立佳奈さんの「little flower」のサビはこのパターンに該当するかと思います。



0:47~のサビの、

好きなんだ 君へFlower
渡したい 恋のFlower


この部分のメロの動き方が同じですよね。


この曲のように全く同じメロになることばかりではないのですが、同じようなメロの動きを繰り返すことは覚えやすさを生み出す一つのコツです。



②音数は少なく。ブレスを取りやすく。



覚えやすいメロの条件として、「歌いやすい」というものがあると思います。


この歌い手への配慮というのは作曲の上ではかなり大事です。

必ずしも歌のスキルが高くないアーティストさんも多いため、コンペだと指定音域が非常に狭いことが多いです。


また、歌いやすさは音域のみで決まるわけではありません。

メロの譜割りがあまりに細かい曲や、ブレスが取りにくい曲は歌う難易度が上がります

こうした部分で簡潔化できるほど、覚えやすさは増します。


もっとも、同音連続の場合や半音・全音間隔で行き来する場合などは特に、必ずしも音数が少ないばかりが良いわけでもない気がしますけどね。

最近の速い曲には音数そのものは多いものもたくさんありますし。


③シンコペーションを使いすぎない



これは個人的には少し懐疑的なのですが、言われたことがあるので念の為書いてみたいと思います。


メロにシンコペーションが多いと、現代風になる一方で印象に残りにくくなるそうです。


「日本人は裏拍でなく表拍でリズムをとる」習慣があることに起因するのかもしれません。


④なんやかんやコード進行と編曲


「C→G→Am→Em」みたいな所謂J-POP的カノン進行と、ジャズっぽい代理コードや部分転調をガンガン組み込んだ進行だと、前者の方が覚えやすいメロにはなるに違いないですよね。


これがJ-POPに似たような曲の多い原因の一つでもあると思うのですが、コード進行を変わったものにするとそれだけキャッチーさが失われる傾向にあると思います。


ですので、キャッチーなサビで使えるコード進行なんて本当に限られたものしかないのではないでしょうか。



また、編曲技術もかなり大事です。


「編曲がされていないけど良い曲」かどうかなんて、一般の人はほぼわかりません。


街角で「おっ、イケメンだ!」と思う人は、その実ほとんどが顔の質が高いというよりも身なりが整っているケースではないでしょうか。


逆に、身なりが全然整っていないけど、顔の素材はいい!なんて普通は思いませんよね。


編曲はこの「オシャレ」と同じようなものだと思っています。


編曲技術が高いほど、当然聴き手にも「しっかり作られた良い曲だ」と思ってもらいやすいですし、また作る側としても、自分の曲の良し悪しを判断する基準に知らず知らずのうちになっている印象です。

弾き語り状態だと良し悪しがよくわからなくても、編曲が整うと良く聴こえてくることも結構あります。

まとめ

結局のところ、キャッチーな曲を作るためには、聴く人に優しい形にする工夫が求められるということなのかなと感じました。

ただ、これだけを意識すると「ありふれたつまらない曲」になる恐れも十分にあり、「聴きどころ」を作ることも意識しなければなりません。

その点については、また次回考えてみたいと思います。